火曜日, 4月 03, 2012

教育経営に関わる改革について

平成17年度の文部科学白書を見ますと、重点行動計画の一番に「教育目標の明確化とその検証」が位置づけられています。これは、昭和55年からの白書で初めての事と言えます。
目標を明確にし、それを検証可能にするためには目標を数値化することが方法の一つです。学校経営計画とは、ある目標がより上位の目標を実現するための手段として位置づけられた体系を記載したものであり、学校経営とはその計画を動的なものと捉え、状況に応じて柔軟に取り組みを変化させ、当初の目標を実現することであると言えます。
実際にどのような目標と検証方法がとられているかを見てみます。そこで人や予算などの資源の集中する公立進学校に着目しました。東京の日比谷高校の「平成18年度学校経営計画」を見ますと、中期的目標として5つの目標とその方策が挙げられています。しかし、数値化されているのは、進学実績のみです。大阪の北野高校や京都の堀川高校を見ても、ホームページを見る限りでは教育成果を数値的に表記している記述は進学実績以外に見当たりませんでした。目標達成の検証方法も、日比谷高校と堀川高校で授業評価や満足度調査が行われているとのことですが、詳細な分析結果は記載されていません。
これらのことは、まだ学校は進学・学力以外に教育の目標を作り、それを分析・改善体制が整っていない、つまりは進学・学力以外の学校経営を計画・経営が十分にできていないことを示しているのではないでしょうか。
学力以外の教育効果は測られないのでしょうか。例えば「国際社会で通用する力をつける」という教育目標について考えてみます。まず、その力を、「それは自ら発信する力だ」などと解釈し、具体的に定義する必要があるでしょう。そうした力を持つ生徒の「割合」がどの程度変化するかを見ることで、「2学期の終わりには積極的に発言する生徒が7割程度になっている」などの目標が作れるのではないでしょうか。ただし、こうした目標を作る際には、「一方で、熟考した意見がでなくなるかもしれない」という逆機能があることも考慮する必要があるでしょう。
上記のような考えは、大きな目標から小さな目標に演繹的に教育が計画できる、とする工学的アプローチに立っているといえます。しかし、現場では計画できない偶発事象による教育的効果もあります。こうした人と人が対面することで生じる変化を方向づけるものが「学校文化」であると言えます。この学校文化の核となるものが「理念」だといえます。今後学校が地域の協力を得る上で、こうした文化的求心力は必要とされると考えられます。今後の教育経営の改革は、学校組織に「時計(計画)」と作ると同時に、「文化(教員・生徒の言動)を作ることで、「測られる効果」と「測られない効果」の両方を実現するよう進めていく必要があると考えます。

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