土曜日, 4月 28, 2012

学校に関するメタファー



タイトル: 高校生の学校イメージとその形成に関する一研究 : 学校メタファーの分析を通して
その他のタイトル: A Study of High-school Students' Images of School and the Formations of these Images : An Analysis of the School Metaphor
著者: 紅林, 伸幸
東, 雅子
安藤, 哲也
川村, 光
発行日: 1997年
出版者: 滋賀大学教育学部
引用: 滋賀大学教育学部紀要, II, 人文科学・社会科学, 第47号, pp.23-36


http://libdspace.biwako.shiga-u.ac.jp/dspace/bitstream/10441/1620/2/SJ05_0047_023A.pdf




学校組織構造のメタファーMetaphor on Organisation Structure of School
著者: 榊原, 禎宏
出版者: 京都教育大学
引用: 京都教育大学紀要 Bulletin of Kyoto University of Education
シリーズ番号/レポート番号: No.113

http://ir.kyokyo-u.ac.jp/dspace/handle/123456789/4041

金曜日, 4月 27, 2012

看護専門学校のための教育学3 教育とは何か 説明


このユニットで押さえておきたいことは、最初の二つの小見出しで説明される、形成、共同体のための教育、と、後で説明される<教育>とは違うものですよ、ということですね。なぜ、わざわざこうして<教育>とは別ものですよ、と分けるかというと、それは、13頁の「しかし」のあとで書かれているように、教育の何が問題か、ということを考えたいからですね。なので、どこまでが教育の範囲になるか、ということを決めておきたい。
14頁では、人が様々な人との関わりのなかで学んでいくことを「形成」と呼びましょう、と言っていますね。また、共同体、というものがあった時代には、その共同体を維持するために必要なことが教えられてきた、と書かれています。例えば、映画のトリックや金田一君とかの事件には、その村独自の掟を破ったから痛い目にあう、なんて話がありますね。それは感情とも結びついていた、とあります。
しかし、近代になってからは市民社会や国家という新しい共同体が生まれて、その共同体の一員を育てるために<教育>という営みが生まれてきた。

ジャン・ジャック・ルソー(スイス 1712)
テンポの良い名前とうっすらとしたヒゲが特徴。生まれてすぐにお母さんを亡くし、7歳のころにお父さんとお兄ちゃんも家を出てしまう。放浪生活の末、男爵夫人の愛人に。理性よりも感情を重視するのも分かる気がする。社会の授業では共同体や人民主権について書かれた「社会契約論」を覚えたけど、教育論「エミール」も教育学の教科書には載る。発刊当時は宗教的な部分で禁書にされたらしいけど。哲学者カントが読みふけってしまい、いつもの時間に散歩にでるのを忘れたという逸話がある。恋愛小説「エロイーズ」もあわせて読みたい。性的には問題のあったということ。童謡「むすんでひらいて」の原曲もルソー作曲。こんな破天荒な人が教育論で参照されるのだから、教育というのはとても懐の広い営みなんだね。
それまでは貴族社会になじむためのルールを覚える、というのが普通だったけど、子どもには子どもの自然があるので、その成長に応じた働きかけが必要だと言った。

フィリップ・アリエス(フランス 1914)
日曜歴史家と言われ、大学の先生でないけど、週末に歴史を研究してた。勇気をもらえますね。近代以降の子ども観の形成を研究。中世には子どもという概念がなかったという。
すぐにはイメージできない。ちなみに西洋史での中世は西ローマ帝国滅亡(476年)から
東ローマ帝国滅亡(1453年)くらいまで。ルネサンス以降が近世。封建制、農奴制が特徴。いわゆる「ベルセルク」の世界観。
話しを戻して、つまり近代の学校教育制度は大人と子どもを別のものと考えることを
当然だとしているけど、それってどうなの、と疑問を呈したのが「<子ども>の誕生」。
子どもと大人の服は一緒だった、と服装などに着目するところも面白い。子どもは働けるようになると(7,8歳くらい)、家を手伝ったのだという話しをされると「宝島」の冒頭シーンを思い出す。

<教育>の困難、というところでは、子供の自発性を重視することが、実は子供たちを従属させる、というパラドックスが面白いですね。

ここのコラムの教育に関するメタファーも面白いのですが、また機会があればやってみましょう。

こうやって、形成や共同体での教育に、子どもに価値を置いた新しい共同体の<教育>というものが生まれたことが、新たな困難を生むことになったと言っています。そこで、その<教育>について考えていきましょう、と終わっています。

では、要約を読んでみましょう。
教育の概念と性格を考えるために、まず歴史的な視野をもって教育の概念を捉える必要がある。教育の概念を明らかにするために、教育という言葉を、形成、共同体のための教育、<教育>と捉えた。そのなかで、近代において子どもを価値として捉える<教育>が生まれることを見てきた。近代における世代交代の特質、人間形成の特質の解明が課題だ。

確認問題
1 「笑いの教育」(柳田國男)はどのような人間形成であるか整理してみよう。
「笑いの教育」とは、笑いという日常的な振る舞いを通して行動を規制し、村の秩序をはみ出さない成員を育てる共同体での教育。それは、「人に笑われない人になれ」という価値のもとでの規制である。(92字)

2 <子どもの発見>とは何か。またこれは近代社会との教育とどのような関係にあるか論じてみよう。
<子どもの発見>とは、近代社会において子どもを特別な存在として見るまなざしの誕生である。それは、市民社会や近代国家という新しい共同体から要請される新たな人間観であり、<教育>の対象となる「子ども」という価値が見つけられたことを意味する。(118字)

3 自発的従属とは何か。『エミール』の例から考えてみよう。
自発的従属とは、個人の自発性に価値をおき、子どもに働きかける行為である教育が、同時に最も徹底的に子供たちの従属を可能にすることを指す。または、教育を通した子供の自発性の統制、または他者(社会)への従属である。(104字)

4 日本では「教育ができている」と一般的に言われる場合には何を意味しているかを考え、このユニットで学んだ教育と比較してみよう。
日本において、教育ができているには大きく二つの意味がある。一つは、躾や時と場所に適した振る舞いができるかという身体動作である。もう一つは、学歴の高さなど制度的裏付けを伴う意味である。(91字)

水曜日, 4月 11, 2012

学ぶということ

ジョン・ホルト(アメリカ 1923)
ホームスクーリング運動。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%88_(%E6%95%99%E8%82%B2%E8%80%85)

新人看護職員研修
http://www.gshift.com/bgFreshNurseTraining.htm

厚生労働省のガイドライン
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/12/dl/s1225-24a.pdf

子どもの学習 権利と参加


教育相談


学校建築

ウァスタッド・ギムナジウム

ウァスタッド・ギムナジウム
http://www.spiralmarket.com/designers/house/



http://www.nou-sera.com/blog/architecture/763/

デンマークのコペンハーゲンの高校 教室がないらしい



http://mirai-wood-archi.at.webry.info/theme/d7fc32e564.html

武蔵野美大



http://www.voi-x.com/html/product-annai.html

文科省 学校建築年報を出している。






http://suzukenblog.blog24.fc2.com/blog-entry-958.html

スウェーデン オープンスペースでなく、一人の学習空間を広く取る



http://www.manabinoba.com/index.cfm/6,16686,12,html

東日本大震災の後、コミュニティの拠点としての学校が見直される。






職員室がどのようなデザインになっているかも、学校によって違う。



入りやすいように、とドアをなくした職員室もある。



職員室の前に自習用の机を並べている学校も。



アメリカには、職員室というものはなく、スタッフルームという名前の休憩室があることのほうが多い。基本的に、教員は自分の教室にいて、生徒が移動するため。資料室が別途設けられていることもある。


「学校建築の現在と展望」建築年報2010 長澤悟
http://ci.nii.ac.jp/els/110007700927.pdf?id=ART0009506831&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1335942832&cp=


学校をつくろう!―子どもの心がはずむ空間 [単行本]
工藤 和美 (著)





文科省2010.1「新たな学校施設づくりのアイディア集」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/seibi/1289743.htm

文科省2010.3「学校施設の評価事例集」
http://www.nier.go.jp/shisetsu/pdf/hyoukajirei.pdf

文科省2010.3「学校施設の非構造部材の耐震化ガイドブック」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/shuppan/1291462.htm

文科省2010.5「すべての学校でエコスクールづくりを目指して 既存学校施設のエコスクール化のための事例集」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/ecoschool/detail/1294138.htm




愛知県緒川小学校 80年代オープンスクールによる授業改革を進めた代表事例



千葉県打瀬小学校 アメニティや解放性を考慮して作られた。アクティビティの誘発がねらい。

学校



パノプティコン

響きが格好いい。筋肉マンの怪人の名前にもでてきそうだ。

all「すべてを」(pan-)observe「みる」 (-opticon)という意味
功利主義者であったベンサムの考案。
う~ん、効率的!
ベンサム自身は、イギリスの刑務所の非人間的なところを直したいと
強く思って普及を進めた。
囚人からは見えないけど、看守からは全員が見える。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%8E%E3%83%97%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B3%E3%83%B3

ミシェル・フーコーという人が、囚人は見られていることを意識して、規則に従順な身体を形成する、というところに着目して、管理や統制された環境の比喩に使った。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%A3%E7%8D%84%E3%81%AE%E8%AA%95%E7%94%9F


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%BC%E3%82%B3%E3%83%BC


校則とパノプティコンについて

http://informatics.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_9d4d.html






1──ベルの推奨したコの字型配置によるシステムの教室(1848)
ベルの考案したコの字型

4──ランカスター方式の教室(1810) 点で示された生徒
ランカスター方式の教室
教師が助教を使って、一度に多くの生徒を教える。

http://db.10plus1.jp/backnumber/article/articleid/869/

ランカスター(イギリス 1778)はあまり学校経営は上手でなく、一度破産している。
アメリカに渡ってからも車に引かれたり、と結構災難。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%82%BB%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC






脱(非)学校論(イリイチ)

価値を制度化するのが学校だ、ということで、
学校が教育を独占することを批判。
80年代の学校批判を代表する本の一つ。

眼鏡の右側が割れてるみたいに見える。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%82%A4%E3%83%81

http://ittokutomano.blogspot.jp/2011/11/blog-post.html

http://mojix.org/2008/05/04/illich_deschooling

http://kaz.topaz.ne.jp/well/paper/illich.html



誕生日のお祝いの席でのニイル

ニイル(イギリス 1883) 誕生日の写真 

「子どもを学校に合わせるのでなく、学校を子どもに合わせる」、
こういう「逆に言えば~」的な用語は耳に残りますね。

http://ja.wikipedia.org/wiki/A%E3%83%BBS%E3%83%BB%E3%83%8B%E3%82%A4%E3%83%AB




サマーヒル・スクールでは、子どもが学校に来ることを一切強制しなかったらしい。
<不登校>問題とあわせて考えたいなぁ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%AB




教育思想家一覧

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%99%E8%82%B2%E6%80%9D%E6%83%B3%E5%AE%B6%E4%B8%80%E8%A6%A7

子ども観



フィリップ・アリエス(フランス 1914)
日曜歴史家と言われ、大学の先生でないけど、
週末に歴史を研究してた。
勇気をもらえますね。

近代以降の子ども観の形成を研究。
中世には子どもという概念がなかったという。
すぐにはイメージできない。
http://www.blogger.com/blogger.g?blogID=33365067#editor/target=post;postID=6955996278667431320

ちなみに西洋史での中世は西ローマ帝国滅亡(476年)から
東ローマ帝国滅亡(1453年)くらいまで。ルネサンス以降が近世。
封建制、農奴制が特徴。
いわゆる「ベルセルク」の世界観。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E4%B8%96



話しを戻して、つまり近代の学校教育制度は大人と子どもを別のものと考えることを
当然だとしているけど、それってどうなの、と疑問を呈したのが「<子ども>の誕生」。
子どもと大人の服は一緒だった、と服装などに着目するところも面白い。
子どもは働けるようになると(7,8歳くらい)、家を手伝ったのだという話しをされると
「宝島」の冒頭シーンを思い出す。

http://www.geocities.jp/ittokutomano/aries.html





アヴェロン(フランス)の野生児 狼に育てられたという。映画や演劇の題材にも。

http://treasure-news.seesaa.net/article/120772962.html


教育の持つ可能性、もしくは驕り、障害を持つ子どもに対しての教育への示唆、など様々に解釈される。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%AB

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%81%AE%E9%87%8E%E7%94%9F%E5%85%90



「絵本に見られる欧米と日本の子ども観の違い」
愛知教育大学 幼児教育研究 第15号 pp.73-80 南 元子

http://repository.aichi-edu.ac.jp/dspace/bitstream/10424/3085/1/yoji157380.pdf




子どもが一人で寝るまでの物語  子どもと大人が別の時間と空間にいる




ベイビー・ハーネス どう感じますか?


「保育園実習における看護学生の子ども観」
九州大学医学部保健学科紀要 5 2005 pp.77-86
https://qir.kyushu-u.ac.jp/dspace/bitstream/2324/3256/1/shsjournal2005-1_08.pdf

「教育大生の保護者観、こども観」
北海道文教大学研究紀要 28号 2004 pp.105-114
http://libro.do-bunkyodai.ac.jp/research/pdf/journal28/12.pdf


「子ども観の変遷に関する一考察」
金城学院大学論集. 人間科学編 29, 1-14, 2004-03-20
http://ci.nii.ac.jp/naid/110004476949

「エミール」を書いたルソーも修道院に預けたらしい

日本の「7つまでは神の子」も、裏を返せば、「間引き」の歴史に見られたように、
殺すのではなく、神の世界へ


この機会に「赤ちゃんポスト」についても考えてみたい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%83%88















教育哲学

   

ペスタロッチ(スイス 1746)
スイスの人。孤児や貧民の子どもを教育。
他の人の研究で初等教育や幼児教育に展開。
人柄がにじみ出る絵です。右は奥さんと一緒に教えている絵。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%92%E3%83%BB%E3%83%9A%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%81






デューイ(アメリカ 1859)
すごい人。教師を2年したけど、自分には向かないと思って
心理学研究所で働きながら博士号をとる。
博士論文は「カントの心理学」だったらしい。
経験と反省から学ぶことが大事なんですって。
問題解決学習、というのもデューイさんの考えがもとになってます。
その考えを元にして作った実験学校(デューイスクール/現シカゴ大附属)が有名。
でも、画像を検索すると出てくるのは「スクール・オブ・ロック」
主人公の名前がデューイだから。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%A4

教育史


コメニウス(チェコ 1658)
学校教育の仕組みや、教育学の体系を考案
「大教授学」という聞くに恐ろしい本を出す。
世界図絵は子どもを対象にした最初の絵本と呼ばれる。
みかけによらず子どもにはやさしかったのかも。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%A1%E3%83%8B%E3%82%A6%E3%82%B9





ジャン・ジャック・ルソー(スイス 1712)
テンポの良い名前とうっすらとしたヒゲが特徴。
生まれてすぐにお母さんを亡くし、7歳のころにお父さんとお兄ちゃんも家を出てしまう。
放浪生活の末、男爵夫人の愛人に。理性よりも感情を重視するのも分かる気がする。
社会の授業では共同体や人民主権について書かれた「社会契約論」を覚えたけど、
教育論「エミール」も教育学の教科書には載る。
発刊当時は宗教的な部分で禁書にされたらしいけど。
哲学者カントが読みふけってしまい、いつもの時間に散歩にでるのを忘れたという逸話がある。
恋愛小説「エロイーズ」もあわせて読みたい。性的には問題のあったということ。
童謡「むすんでひらいて」の原曲もルソー作曲。
こんな破天荒な人が教育論で参照されるのだから、
教育というのはとても懐の広い営みなんだね。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%EF%BC%9D%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%BC

火曜日, 4月 10, 2012

看護専門学校のための教育学2 教育学とは何か 導入の話し


●入学式と絡めて

先週は入学式がありましたね。案内していただいた人の一つ一つの動作が折り目正しくて、良い教育がされてるんだな、と感じました。お茶を出す時に、きちんと右側に回って出してくれるんです。こういったとき、みなさんはどういうことを思いますか?ああ、右側から出すのか、覚えておこう、と思いますか?それとも、なぜ右側から出すんだろう?と思いますか?→挙手
他に、入学式でみなさんは、どんなことが印象に残ってますか?

僕は、とても緊張したんですけど、みなさんはどうでしたか?起立と着席を繰り返しますよね。あれが苦手なんですよ。でも、ああしたことをきちんとされているのを見ると、ああ、良い式だな、と感じるんですよね。たぶん、それもおもてなしの一つだと思うんですよ。初めて会う入学生に対して、卒業式だとこれまでお世話になった恩師に対して、礼節を尽くす、言葉でいえないから、動作で表すんですよね。

そして、すぐに国歌斉唱になったでしょ。大阪では問題になってますよね。歌って、受験科目には特別な人でない限りはいらないですけど、生きてる中でとても大きく影響しますね。先週、ミュージックステーションを見てて、ああ、その時々にいろいろな歌があったなぁ、と思い出しました。

みんなで一緒の旋律を歌う、というのはいつごろから始まったと思いますか?(明治時代?)今日の新聞の記事に、日本で斉唱が始まったのは16世紀ごろ、という話しが紹介されていました。日本語は、一音一音がはっきりしているので、斉唱しやすいみたいですね。だから、AKBのようなユニゾンで歌うグループが流行る、というような話がありました。ただ、明治時代は日本が富国強兵を合言葉に国を挙げて教育をしたころですね。そのころには、学校での推奨歌、というのもあったのかもしれません。

昔話の多くは口で伝えられてましたけど、それだけだと覚えられないから歌にして伝えたって言われますよね。歌は、そうした何かしらの価値を伝える手段なんですね。君が代は、そこに戦争を思い出す人がいる、ということで議論になるんですね。

つまり、何をみんなの歌とするかは、どのような価値を大事にするかという合意がないと決まらない。そして、その価値を大事にしているかどうかを、歌うという動作で判断するんですね。そうして、何度も何度も歌っているうちに、慣れていく。これを、価値の身体化といいますけど、そこに教育が関係してくるんですね。

来賓の方のお話しにもありましたよね、心身一如って。これは、体に着目した話しですけど、別の意味ですね。つまり、頭で分かっているだけではだめだと。思っていることが行動になって現れないといけない。これは、看護師を目指される皆さんはなおのことですが、専門的知識を持っていて、状況に応じて一番適切な方法をとるように自然と体が動く。これを習熟といいます。佐藤君はサッカーをするからわかるでしょう。誰にパスを出せばいいか、ゲームの流れを読んでとっさに判断しないといけない。
僕は、この前の入学式に参列させてもらったときに、こんなことを考えていたんです。

●前回の振り返りと絡めて

(チーム分けを、誰をメンバーにするかを学生に選んでもらったことから、
選ぶという行為の及ぼす影響、選ぶ選択肢がなくなった人たちの気持ち、について触れる。

多数決で発表テーマを決めたことについて、多数決というのは民主的な方法なのかどうか、
について触れる。)

●ユニット0 教育学とは何か

ユニット0をグループで読み、何回も出てきている言葉を探す、
教育学についての説明を探す 5分

説明 7分

まず、何回も出ている言葉がありますけど、何だと思いますか。
「反省的」という言葉ですね。リフレクティブ、という英語です。
まず、今の教育学は、反省が大好きだ、と覚えておいてください。
次に、教育学とは何だ、と書かれていましたが。
教育をみるめがねを学問の方法を用いて提供する学問、ですね。
ここ、大事ですので、線を引いておいてください。

次に、教育というものの性格について、という見出しがありますね。
専門書は、まずこうした見出しをざっと追っていってください。
見出しは、そこで一番いいたいことが書かれています。
では、文章の中で、いいたいことを探すときはどうすればいいですか?
接続詞に着目するんでしたね。
A=A’、A≠B、A→Cと、段落を固まりにして読む。

「すなわち」とか、「つまり」という言葉があると、その後は大事。
「しかし」の後は筆者が主張したいことだから大事。
「例えば」は話しとしては面白いけど、その前で言ってることと同じ。

なので、ここでは、「人々は共同社会の中に埋め込まれており、
その成員づくりが教育であった」が大事ですね。
これは、どういうことでしょうか。

例えば、この学校は、病院ができてから作られていますね。
なので、その病院でこうした看護師さんが必要だな、と考えられて
その教育のために作られたわけです。このとき、病院、そこでの
お医者さんや看護師、患者さんたちの共同体で大事とされたことが、
いま伝えられているんですね。

次の、教育学の成立の基盤、は少し難しいですね。
「教育学は、共同体社会が崩れ、そこに埋没していたタブララサ(白紙)
としての子どもが発見され、子どもにどう働きかけたらよいのかという
問いに応える形で登場してきた」というところに線を引いてください。

そして、次のページ、「子どもそれ自体を価値あるものと捉えること、
国家を構成する人物の養成という二つの課題が生み出す葛藤を含み
ながら教育学は作り上げられていく。」というところにも線を。
どういうことがイメージできますか?

ラピュタを見たことありますか?パズーが厳しい親方の下で働く
シーンから始まりますよね。パズーは、自分にできることを
精一杯やっている。親方も、働き手の一人としてみてますよね。
年齢でいうと、今の中学1年生くらいじゃないですか。
どうも炭鉱で働いているようなので、すでに産業化、つまり
近代に入っているようですけど、どうもパズーは学校に言っている様子はない。
ちなみに、近代を一番イメージしやすい比喩は機械ですね。
チャップリンという人のモダンタイムズ、などの映画が思い出されます。

一方で、エバンゲリオンでは、選抜されて、特殊な教育を受けた
アスカとかが乗組員になっていますよね。あれは、ネルフという機関が
母体となって、将来的に有望な子どもに対して教育を行ってるんですね。
なにかよくわからないけど、人類に危機が迫っていて、その危機から
救うために、エバンゲリオンという機械だか何かよくわからないものを
操縦できる子どもを育てる。
でも、シンジ君みたいに、センチメンタルな子もいるから、
単に強くなれ、とも言えないような状況もある。こんな感じでしょうか。

つまり、教育というのは、近代や国家というものととても仲良しだということです。

次の教育科学の登場と、ペタゴジーとしての教育学というのが、
これまで入学式とか、チーム分けでお話ししたことです。
どうやって教えればいいか、というのがペタゴジーで、
これを教えることに価値があるのか、なぜ価値があるとみなされたのか、
教えるという行為を成り立たせている背景は何か、などを考えることに
分けられるんじゃないか、という話です。

例えば、どうやったらみんな僕の話しを聞いてくれるかな、と考えて工夫するのが
ペタゴジー。一方で、なんで看護師になるのに教育学なんて勉強しないと
いけないんだ、そもそも看護師になるための教育って何なんだ、とかを
考えるのが教育科学というところでしょうか。
でも、そんな簡単に分けられないよね、と最後に言ってます。

ちょっとしんどくなってきましたね。次が最後です。
教育学がどのような構成になっているか、ということで、
ここは□で囲んでおいてください。
まず、教育とは何かに関わる研究、
つぎに、教育がいかに、どのように行われてきたかという研究
そして、教育をどう行うかに関わる研究です。
みなさんが選んだ、
子ども観は、教育をどうとらえるかという質問への回答です。
学びの空間のデザインや教育相談は、
どう教えるかというペタゴジーに関係することですね。
子どもの学習と参加の権利は、今どんなことが課題になっているか、
ということです。

では、班で、同じところに線が引けているかを確認してください。
できた班は、ユニット31を開いてください。
いきなり結論を見ておきましょう。
接続詞をマークしながら、
どんなことが書いてあるかを読んでみてください。


●グループ活動 一年生に伝えたいこと

先週、入学生を見てどのようなことを感じましたか。
みなさんは、入学生よりも一年多く、看護師を学ぶ人としての経験を持っていますね。
どんなことを伝えたいと思いますか。
グループで24字でまとめてみてください。
音として24字ですので、「遠い」と漢字を使っても、「とおい」と3字で数えてください。


できましたか。
実は、これはみなさんの学校の校歌のワンフレーズと同じ文字数なんです。
では、歌ってもらいましょう。

どうですか。
恥ずかしい、という気持ちで歌えないこともあるでしょうけど、
歌うという行為が価値を身体を使って伝える行為であることを感じてもらえればと思います。

土曜日, 4月 07, 2012

教育学をつかむ アンケート結果

教科書「教育学をつかむ」で、どのユニットに関心があるかをアンケートした。(一人3票)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/toc/4641177112/ref=dp_toc?ie=UTF8&n=465392

1位:15「学びの空間デザイン」13票
2位:17「教育相談」10票
3位:2「子ども観」、4「学校とは何か」、26「子どもの学習と参加の権利」8票

詳細は次の通り。




序 unit 0 教育学とは何か
〈第1部〉 教育をどうとらえるか
第1章 教育と子ども
unit 1 教育とは何か unit 2 子ども観 unit 3 人間の発達と教育
第2章 教育と社会
unit 4 学校とは何か unit 5 国民国家と教育 unit 6 社会変動と教育
第3章 教育の目的
unit 7 近代の教育思想 unit 8 ジェンダーとセクシュアリティ unit 9 リテラシーと教養
〈第2部〉 教えるということ──教育の事実をつくりだすペダゴジー
第4章 ペダゴジーのグランドデザイン
unit 10 学ぶということ unit 11 目標・評価・学力 unit 12 カリキュラム開発
第5章 ペダゴジーの遂行(1)
unit 13 学習の過程と形態 unit 14 メディアの教材と教科書 unit 15 学びの空間のデザイン
第6章 ペダゴジーの遂行(2)
unit 16 生活指導 unit 17 教育相談
第7章 ペダゴジーの担い手 unit 18 教師の専門的力量とアイデンティティ unit 19 教職の専門職化
〈第3部〉 ペダゴジーをめぐる現代的な課題
第8章 教育の制度
unit 20 教育行政と学校の統治 unit 21 教育における法と政治
第9章 教育の接続
unit 22 学校接続と中等教育 unit 23 高等教育 unit 24 進路指導/キャリア教育 unit 25 社会教育と生涯学習
第10章 共生の教育
unit 26 子どもの学習と参加の権利 unit 27 多文化教育 unit 28 特別ニーズ教育/インクルーシブ教育 unit 29 グローバリゼーションと教育開発 unit 30 シティズンシップ

unit 31 本書がつかもうとした教育学


グループ1 グループ2 グループ3 グループ4 合計
1 2 1 2 5
2 2 3 3 8
3 1 1 2
4 1 3 3 1 8
5 1 1
6 0
7 1 1
8 2 1 3
9 0
10 2 1 3 1 7
11 1 1 2
12 1 1 1 3
13 2 2
14 1 1 2
15 2 6 4 1 13
16 1 2 1 2 6
17 2 1 3 4 10
18 1 2 2 5
19 2 2
20 0
21 0
22 0
23 1 1
24 3 1 4
25 1 1 2
26 4 1 2 1 8
27 2 3 5
28 1 1 2
29 1 1
30 1 2 3
31 0