水曜日, 6月 13, 2012

教育相談 説明


教育相談 説明

確認問題

1 学校教育の現場で教育相談活動の重要性が認識されてきたのはなぜだろうか

1980年代以降、いじめや登校拒否などの問題が深刻化していく中で、教育相談へのニーズが急速に高まった。多くの学校では保健室が居場所や相談室の機能を果たしていたが、生徒指導の一環として相談活動の充実が求められるようになっていった。(110字)
第一に子どもの状況の変化が考えられる。人間関係を調整する能力を衰退させ、ストレス耐性の低下したという変貌が要因といえる。第二に成熟社会への以降に伴い、価値観やニーズの多様化が進んだことが挙げられる。個性化と個別化が望まれる時代環境にマッチしたことが要因といえる。また、80年代以降に顕著となった学校の生徒指導がもつ強制性に対する教師の信念のゆらぎにも要因の一つといえる。(183字)

2 カウンセリングの知や技法の特徴を整理してみよう

比較的多くの教師たちに学ばれたC.R.ロジャーズのクライエント中心療法の特徴は、人間は誰もが自ら成長し自己実現をしようとする性向を本質的にもっており、心理臨床の技法はこのことへの徹底した信頼に基礎を置くべきだとしている点にある。助言や指示の多かった従来のカウンセリングを改め、非指示的カウンセリングを提唱し、クライエントの「あるがまま」を受け入れ、共感に貫かれた態度で臨むことを極限まで強調した。(195字


治療契約 クライエントが自身の石で治療者であるカウンセラーと治療の契約を結ぶ。その上で対話的な面談が進められていく。
非日常的な場、許容 そこには日常から隔絶された場と時間が用意される。その中で日常生活では不道徳とされる欲望や行為、特定の人物への怒りといったことが自由に語られることが許容される。
覚醒、葛藤の意識化 そうした場と時間のなかで、クライエントは自身の心的葛藤の意識化を行っていく。無意識の中にしまいこまれた受け入れがたい心的苦痛や怒りなどを呼び覚まし、自覚的に内面的な生活史の再構成を行っていく。
傾聴、支援、対話 その際、カウンセラーは中立的・受動的な立場を持ってクライエントの語りに耳を傾け、彼(女)の気づきと改善を見守りつつ支援していくという態度を取る。支援に当たっては、クライエント自身が問題についての「直面」「明確化」「解釈」の遂行をうながすための、専門的知見に基づいた対話的な技法が用いられる。

3 生徒指導へのカウンセリングマインドの導入は、子どもたちに何をもたらしたのだろうか

カウンセリングを基礎づける臨床心理学は、教師たちに現象学的な人間理解の重要性を示す。つまり、先入観や理念的判断を一度脇に置き、対象の内的な意味世界を理解することを促した。カウンセリングマインドに基づく受容と共感のアプローチは、子どもの行動という表層に現れた問題に対し、規範で裁くような態度を戒め、そうならざるを得なかったその子の内的な意味世界を肯定する受容的態度や、同伴者となろうとする支援的態度を取る教師により、より複雑化した共同体の中で生きる子どもを支援すると期待される。(238字)

4 学校教育の現場に心理臨床のアプローチを根付かしていく際の困難はどのような点にあるのだろうか

たとえば、評価権を保持する教師を前に、子どもたちはカウンセラーに対するクライエントのような構えがとれるのか、守秘義務について子どもや保護者がどこまで教師を信頼できるのかという問題がある。そもそも非日常的な治療の場で行われる相談のための知見と技法が、学校教育という児童・生徒にとっての日常の場に持ち込まれる点に困難がある。1995年から派遣されるようになったスクールカウンセラーについても、個人の治療を目的とするカウンセリングのアプローチと、集団的な指導を目的とする教育のアプローチという次元の違いを踏まえた相補的関係の有り方や、協働関係に関する困難もある。(278字)

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