火曜日, 3月 04, 2014

バイオリン授業に対して誰が何を言うだろうか

○ニューヨークの教育
・セントラルパーク・イースト校の位置 
・「学校を変える力」紹介
1974年に、当時の肥大化した教育行政の問題解決のため、ニューヨーク市第四学区に開校。創設者デボラ・マイヤーが幼児教育の経験を活かし、教育学者ジョン・デューイらの思想に基づく民主主義を支える市民の育成や、レジュメ下に書かれている「思考の習慣」を身につけた自律的学習者を育成するための教育を行い、高校に進学した卒業生の9割以上が高卒資格を得る(市平均は半分程度)。アフリカ系やラテン系アメリカ人、低所得層が多い人口構成にも関わらず、1991年に開校したセントラルパーク・イースト中等教育学校は市内トップレベルの学力水準を達成し、退学者の減少、9割以上の卒業生が大学に進学したことで注目される。

・「36children」:ニューヨークの小学校教師が卒業後も子ども達と手紙をやりとり
大人になるにつれ厳しい現実。しかし、子どもたちに対して出来る限りをやる、と締めくくる。子ども達の「書く」という行為を通じて一人一人を理解していく姿勢は、日本における「綴り方教育」にも通じる点がある。1967年。

・「Savage Inequality」:貧しい学区にはお金がない。
アメリカ北部は学区(教会)中心に教育制度が発達し、学区が教育税。1991年に書かれた本だが、いまだに人種差別の残滓が見られることにも触れている。

・ロベルタ先生のビデオ
→スズキメソード。「母国語と同じように、どの子も才能を伸ばせる」
⇒教育における平等性とは?Q「どの子も努力すれば伸びる」は平等か?

○「ミュージック・オブ・ハート」に見る教育問題・社会問題
【教え方の対比】
・デニス教諭の授業はどこが違いましたか?
・長期在職権(テニュア)をもつデニス教諭の授業では、フルートを吹く子どもに対して、机でペンをたたきながら「D、D、D、C、C、C」と言う場面があった。
・「D」とか「C」は音階を示すが、アメリカでは「A、B、C、D、F」と成績を表す言葉でもある。カメラはデニス教諭が成績を記入しているところも写している。
・現在、ニューヨーク市の学校はすべて子どもの国語や算数の成績などを中心として「A、B、C」などの評価がされている。無機質な文字文化を批判している場面である。
・音楽に限らず、どのような教授方法をするかを学校全体で調整することは難しい問題。
・例えば、日本でも英語にしても会話中心にするか、文法中心にするかで議論が分かれる。

【障害を持つ生徒】
・障害を持つ生徒と一緒に授業を行うことについて、他の生徒の保護者はどのような意見を持つでしょうか?
・足に障害を持つグアダルペという少女。いつもはやんちゃなデショーンが優しく椅子を持ってくる。ハンディキャップを抱えた子どもを教室の中に迎えることで、クラスがまとまることもある。
・障害にもさまざまある。目、耳、口、知的障害。アメリカでは2004年に「障害のある個人教育法:IDEA」が定められ、特別支援を受けながら通常クラスで学ぶことが推奨され、インクルージョン教育という領域で研究されている。しかし、テスト主義の浸透に伴う問題や、安易な診断により学習方法・教授方法の改善につながらない、などの問題もある。

【学校における正統文化】
・なぜ、黒人のナイームの母親が、「退屈な白人音楽なんか習うより」「黒人のクラシックの作曲家を何人ごぞんじ?」というロベルタ先生に食って掛かったのでしょうか?
・これは、学校が白人中心の文化であることへの批判である。
・60年代は黒人コミュニティを中心とした闘争があった。セントラルパーク・イースト校の創設者デボラ・マイヤーが書いた「学校を変える力」でも、74年の創設時にこうしたコミュニティを中心とする教育の要望との葛藤があったことが書かれてある。

【ニューヨークの治安、環境】
・ロベルタ先生がデショーンに「どれくらい練習した?」と聞くが、「喘息(asthma)がひどかった」と答える。喘息を生じる環境要因は、喫煙や住環境の悪さ、貧困が関係している(※)。妊娠時の麻薬や住環境の悪さが胎児に影響を与えることも問題とされている。
※藤原武男,大澤万伊子「喘息の環境要因」(独)国立成育医療研究センター研究所 成育社会医学研究部
・ルーシーのおばあちゃんが泥棒に殺されたと言う話があった。ニューヨークの治安は9.11以降良化しているようだが、地域によっては気を付けなければならない。学校選択制度が支持される背景には、社会経済的背景による階層化や個性を重視する文化や宗教的価値観の強さに加え、安全の確保を願う親心も影響している。学校選択制が同質性を高めるのか多様性を広げるのかは、こうしたアメリカの文脈を加味して考察する必要がある。例えば、移民が大多数を占める地域において、果たして日本のような「地域社会」が存在するのか、それとも学校がそのコミュニティの拠点となるのか、という問いが必要である。
・シングルマザーであり、アメリカでは教師は社会的経済的低く、給料は10か月分しかもらえない。しかも非常勤講師のロベルタ先生は、住環境が良くない地域に住まなければ生活できなかったのかもしれない。仕事と子育ての両立に苦しむロベルタ先生の問題は、今日の日本においても同じく生じるシングルマザーの問題でもある。

【保護者との関係】
・あなたが保護者だったら、ロベルタ先生の授業に不満を漏らす子どもの声を聞いて、どのように対応しますか?
・ベッキーの母親が「あなたはいつも生徒を怒鳴っている」と教育方法に口出しをする。
・教師は教育の専門家であるが、その教育は保護者との協力なしには成立しない。保護者の参画と教師の専門性がうまくバランスするときに良い教育が生じるが、そのためにはどちらも相手を理解する努力を継続する必要がある。その対話や協同の機会を設け、うまく運用することが必要である。

「青い目、茶色い目」
・レッテルを貼ることで差別が生まれる
・差別された側は「学校教育」に対するやる気を失う。
・差別された側は「学校教育」に馴染んでいる子どもに対する不満を募らせる。
・教師の声掛け一つで、子どもの価値観が変わる。
・教師に目をかけられた子どもは学習に対するやる気をだし、実際に点数が上がる
⇒教師が身体化している価値観との相性で学校生活が変わる。教師という職業に就く人にはある程度共通した要素がある?(中産階級、大学卒、白人、女性、、、)
Q「自分と相性の合った先生、合わなかった先生について」

「移民と英語」
・今からスペイン語で授業をする、と言われたらどう思うか。
・セントラルパーク・イースト小学校(208名、2012年度)は白人25.5%、黒人28.8%、ヒスパニック33.2%。文化、母国語が多様。
・白人、英語、書き言葉を正統とする学校文化との不適合や葛藤が生じる。
・話せるけど書けない。日常生活に困らない程度=小学4年生くらい。会話中心でいい?
・私の英語学習法
Q「ミュージック・オブ・ハート」におけるバイオリン授業についての意見を次の立場から
ロベルタ先生、そのクラスの担任、他の音楽教師、校長、教育委員会、他校の校長や先生、
ロベルタ先生の授業を受けている子ども及び親、受けていない子ども及び親、白人の子ども及び親、黒人の子ども及び親、ヒスパニックの子ども及び親、ロベルタ先生の家族

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