中学校校長のリーダーシップのエスノグラフィー
露口 健司
教育経営学研究紀要、1997、第4号、85-92
https://qir.kyushu-u.ac.jp/dspace/bitstream/2324/757/1/KJ00000042599.pdf
はじめに
ここでは次のようなことに触れる。
・ プロフィール 都市部/近郊 校長の経歴、性格→謹厳・実直→エゴグラムで表現してはどうか
・ 地域性 新興住宅地
・ 学校の概略 生徒数
・ 当時の状況 荒れていた
・ 何を改善テーマとしたか
校長の一日の行動分析
一日のワークの傾向
・ 仕事の種類
・ 滞在場所
書道とは50年来の付き合いで。趣味の時限を越える。書道特有の厳格な世界は、卒業生全員の卒業証書を校長自らが揮毫するという行動を通して、学校空間全体を包む。すなわち学校内において「書」を文化的シンボルとして位置づけているのである。
→校長のシンボル(得意なこと)とその儀式化により、学校文化にアプローチする。カトリック校の「祈り」
清掃活動を重視している。「秩序・規律」という価値を浸透させる方法。第一は、自らが率先して日々清掃活動に取り組み手本を示す方法である。これは自らを価値具現のモデルとして位置づけ学校構成員に影響を与えようとする方法であるといえる。第二は、行事を利用する方法である。
→「秩序・規律」という価値を、主として「書道」「清掃活動」「行事」といった非言語的活動を通して浸透させようとする校長のリーダーシップスタイルが浮かび上がってくる。
コミュニケーションの相手
これまでは特に行動の非言語的側面に焦点をあてて述べてきたが、それでは言語的側面についてはどうであろうか。「該当なし」を除いた割合。「観察者」「学外者」「教頭」。一日において観察した結果。
コミュニケーションの意味分析
「該当なし」を除いた割合。「雑談」「報告」「企画・立案」「連絡・調整」。一日において観察した結果。「報告」「企画・立案」「連絡・調整」の比率が高い。管理技術的リーダー行動に近い意味内容。「学外者」「教頭」に対してこのリーダー行動が発揮されやすい。校長が「受け手」となっている場合に発揮されやすい。例えば、「S課長から電話がありました(8:54・教頭)」といったコミュニケーションに象徴されている。「該当なし」の多くは「挨拶」によって構成されている。
以上の分析結果から、新しい学校文化の形成を意図した校長の価値浸透の方策について整理すると次のようになる。「管理技術的リーダーシップ」を中心とする一方で、「書」を文化的シンボルとして位置づけるといった複合的なスタイルが見出される。リーダーシップ発揮の場面を解釈的に分析することにより、そこに含まれる意味を捉え、上述した校長のリーダーシップの特性を検証することとする。
→量的な分析からタイプを把握し、質的な分析を加え考察を深める。
場面(文脈)の分析
職員朝礼の場面
まずは、校長による「秩序・規律」価値浸透に際してのリーダーシップ発揮の場面についてである。前節では、特に生徒に対する価値の浸透家庭について論じてきた。しかし、この価値の浸透は教職員も対象とされており、それは職員朝礼の場面において顕著に現れている。この日の職員朝礼は、校長の挨拶の後、教頭及び教諭が連絡事項を伝え、最後に校長が行事についての注意を促し退出するという形になっている。ここでは、展開される文脈を追いながら、校長の言説・行動の意味を探っていく。
【フィールドノーツの項目】
・ 時間
・ 場所
・ 相手
・ 観察記録
Ø 場面の説明、( )内に位置関係や会話の内容または行動
Ø 会話者「 」
・ 上記に加え、関与者の省察インタビュー
校長が挨拶する時点において、職員室はすでに厳然たる雰囲気に包まれている。まさしく、校長による「秩序・規律」価値の教職員への浸透であると解釈できよう。
学外者との対話場面
ここでの場面分析によって、①学外者に対して発揮されるリーダーシップの意味を深めるとともに、②校長が地区校長会のメンバーに対しも自らの価値を吹き込み、いわば校長文化といったものを形成しようとしているという、前節において提示した仮説を検証することとする。
結語
注
・ データとして、フィールドノーツ、校長に対する事前インタビュー、生徒・教職員に対する周辺インタビュー、省察インタビュー、学校要覧を最終している。
https://qir.kyushu-u.ac.jp/dspace/bitstream/2324/757/1/KJ00000042599.pdf
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